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268. リラダン ヴィルジニーとポール

「ヴィルジニーとポール」(1874)は、少女と少年の恋愛譚。名作(サン・ピエール、「ポールとヴィルジニー」)のパロディであると手の内を明かしておいて、それからおもむろに読者を甘美な追憶の想いに引きずりこんでしまうという、極めて巧みなコントである。

十六歳という歳が、夢見ごこちの空であなたを包んでいたころ、あなたはいとけない少女を愛したことがおありだろうか?青葉の棚の下、一脚の椅子に置き忘れられた手袋を思い出したことは?不意に、思いもかけず姿を現わされてどぎまぎしたことは?休暇のあいだ、互いに近寄りながらもおずおずしているので親御さんがほほえまれたとき、頬が燃え立つのを感じたことは?もの思わしげな優しさであなたを見つめる清らかな双の瞳の、限りない甘さを知ったことは?喜びにせつないあなたの心臓にその胸を波打たせ、だしぬけに青ざめふるえる少女の唇にあなたの唇を触れたことは?ともに帰る道すがら、流れの傍で、夕べに摘んだ青い花を、形見の匣の奥に蔵いこんだことは?
(中井英夫訳)


引用は、作品の冒頭。こんなふうに甘い言葉を連ねておいて、あっというまに仮初めの甘美な世界へ引きずりこんでしまうわけである。そんな企みに気づいたとしても、気を悪くはしないんだけどね。あまりに見事なので。



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