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272. カポーティ 誕生日の子どもたち

短編集『夜の樹』(1949)には、みずみずしい作品が揃っている。しかし、カポーティが二十代で書いた作品集だからね、と思うと間違いかもしれない。なぜって、彼のもう一冊の短篇集、  『カメレオンのための音楽』(1980)を読むと、最後までそのみずみずしさを保っていたことがわかるからだ。

彼が唯一、拍手を送ったのはミス・ボビットだった。疑いもなく悪魔が彼女の味方についていたが、彼女には拍手を受けるだけの価値があった。彼女は、腰を振り、巻き毛を振り、目をくるくるさせながら舞台に登場した。それを見ただけでいつものクラシック・ナンバーを踊るつもりでないことはすぐにわかった。彼女はかすみがかった青のスカートの両はしを優雅に持ち上げると、舞台狭しとタップを踊った。(中略)ミス・ボビットはさらにぱっとスカートの裾をめくって青いレースの下着を見せた。男の子たちは扇なしの扇ダンサーのためにとっておいた口笛をここぞと吹いた。(中略)
しかし、ミス・ボビットが最後に優勝したのは決してお尻を見せたからではなかった。(中略)シスター・ロザルバが、火のついたローマ花火を持って舞台に飛び出してきて、それを急テンポの踊りを踊っているミス・ボビットに渡した。彼女もローマ花火を持って振りまわした。その瞬間、花火は爆発して、赤や白や青の火の玉が飛び出した。そのとき彼女が国歌「星条旗」を声を限りに歌いはじめたのでぼくたちはみんな立ちあがった。あとでエル叔母さんはあれはアメリカの舞台で見た最高のショウのひとつだったといった。(川本三郎訳)


この短編集には多様な作品が詰まっている。「ミリアム」のように暗く冷ややかなもの、「感謝祭のお客」のようにアラバマでの子供時代を描いたもの、そしてその二つを正視できないような意気地なしの読者のための暖かくてすこしだけシニカルなもの。「誕生日の子どもたち」は、この最後のタイプの作品で、わたしはこれが大好きなのである。


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