スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

277. トマス・ハーディ 青い瞳

「青い瞳」(1873)は、ハーディの三作目の小説。33歳の作品。
物語の舞台はイギリスの西海岸のとある町。美しい少女と二人の男との恋愛譚である。ハーディは、ありのままの男女の関係とこころの動きを書いた、そのことだけで、当時はセンセーショナルな小説として捉えられたらしい。

エルフリード・スワンコートは感情がすぐ表面にあらわれるといった娘であった。だがその感情の中身や、時とともに移り変わる動きは、彼女の身の上の様々な状況を観察した者にしかわからなかった。
彼女の顔だちは非常に興味深い一つ一つの造りから成り立っていた。だが、その顔だちの際立った点は、それぞれの造りにあるというよりは、全体の組み合わせにあった。(中略)
しかしながら、彼女の一つの点が人目を惹いた。それは彼女の瞳である。瞳の中に彼女の全てが昇華されていた。さらに深く見るまでもなく、彼女はそこに生きていた。
彼女の瞳は青色だった。それは秋の遠い空のような青  光輝く九月の朝、遙かに遠く霞む丘や森の斜面の間にくっきりと見える空のような青だった。潤んだ、翳りをおびた青色で、なんとも言いようのないほのかな色合いで、眺めるというより、引きこまれるような青さだった。
(土屋倭子訳)


引用は物語の冒頭部、主人公の女性エルフリードの描写。顔立ちから始まり、瞳の色まで、なんとそれだけで数十行も使ってしまう筆力!、そして500頁の長編を揺らぐことなくまとめきる構成力!この時代の作家は凄いのである。ただ、そんなところで感心をしていると、痛い目に遭う。この作品は、とても辛い結末が待っているからである。



関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。