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☆ ガラスの檻(Glass Enclosure)

220px-TheAmazingBudPowellVol2_BLP5041.jpg


Blue Note Recordsから、もう一枚。
バド・パウエルの「The Amazing Bud Powell vol.2」(1953)である。このレコードを引っ張り出してきたのには訳がある。
このジャケットが大好きだ、というのがひとつ。そして、ジェフ・ダイヤーが書いた『バット・ビューティフル』(1991)という本を読んだからである。

ここはまるで降霊会のようだよ、バド。明かりはほの暗く、蝋燭の炎が燃えている。机のまわりには、あなたの写真がいくつも立てかけられ、ステレオは「ガラスの檻」を小音量で流している。僕はサード・ストリートのこのアパートメントに座り、バド、あなたの音楽を通してあなたに近づこうとしている。(中略)

あなたが演奏するすべての音楽が、あなたの人生という苦悶に満ちた小説から破り取られたページであることを、僕は求めている。「ガラスの檻」があなたにとっての『ブルーの中で目覚めて』(ロバート・ローウェルの詩)であることを求めている。しかし実際には、それはピアノの小曲というかたちの中に氷漬けにされた交響曲のように聞こえる。あなたが演奏するスタンダード曲だってそのような特質を持っている。あなたは「月光と水玉模様」のような曲を取り上げ、それを宮廷おかかえ作曲家の手になる作品のごとく響かせる・・・
(『バット・ビューティフル』、村上春樹訳)



「バット・ビューティフル」は、ジェフ・ダイヤーが<ジャズについて書いた本>である。ミュージシャンについての評伝というかたちをとりながら、実際は彼らについてのみごとな物語になっている。リング・ラードナーが書いた野球小説のように愉しくて、そして少し哀しい。

ここでは、バド・パウエルについての章の一部を引用した。「ガラスの檻(Glass Enclosure )」という曲は、アルバム「The Amazing Bud Powell vol.2」に入っている。シンプルで美しい曲である。

文中のロウエルの『ブルーの中で目覚めて(Waking in the Blue) 』は、"告白詩"と呼ばれることが多い作品らしい。とすれば、たしかにそんなものをバド・パウエルに求めてはいけないと思うのだが、どうだろうか。

『バット・ビューティフル』という本には、まるで連作短編集のように、バード、ミンガス、モンク、レスター・ヤング、ベン・ウェブスター、チェト・ベイカー、アート・ペパー、そしてバド・パウエルについての物語が、並んでいる。といっても一列に並んでいるのではない。それぞれの物語が、それぞれに奏でられているのである。



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