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278. ヘッセ 美しきかな青春

「美しきかな青春」(1907)は、彼の初期の代表的な短編。・・・物語はヘッセの青年時代、当時、「もてあまし者」であったヘッセが、夏の休暇で一時帰郷した時のエピソードが語られていく。

「気をつけろ、止まれ!」と、彼は向こうから叫んだ。それから、マッチで火縄に火をつけて、私たちの方へやってきた。
「また花火なの?」とロッテがとがめた。
「そんなに大きな音はしないんだよ」とフリッツはうけあった。「気をつけて見てよ。ぼくの発明なんだから」
私たちは火縄が燃えつきるまで待っていた。するとパチパチ音を立てはじめ、しめった火薬のように、しぶしぶ小さな火花を散らしはじめた。フリッツはよろこびに顔を輝かせていた。
「さあ、はじまるぞ、もうすぐだ。はじめは白い火で、それから小さい音がして、赤い炎が出て、それから美しい青い火が出るんだ!」
けれど彼の言ったようにはならなかった。二、三度ピカッと光って火花を出したあと、いきなり激しいパンという音と爆風とともに、すばらしい見ものになるはずの花火全体が白いもうもうたる煙となって空中に飛んでしまった。
ロッテは笑い、フリッツはしょげた。私が彼を慰めようとしているうちに、そのもうもうたる火薬の煙は、暗い庭の上をおごそかにゆっくりと漂い流れていった。
「青い色が少しは見えたよね」と、フリッツが口をきった。・・・
(岡田朝雄訳)


再読してこの箇所にさしかかると、わたしはいつも祈る。フリッツのために。花火が成功して青い火が輝くことを。・・・でもいつも、こんな結果になる。



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No title

外国文学はあまり読まないのですが。。。。いえ、正直に言うとほとんど読まないのですが、こちらにお邪魔すると、読んでみたくなるので不思議です。
ヘッセといえば、中学時代に学校で読まされたあのお話しか知りませんでした。
明日、早速、書架をチェックしてみます。

こんにちは

読みたい本があれば、「書架」をチェックしてみることができる、ってのがいいですね。羨ましい^^


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