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284. ル・クレジオ 地上の見知らぬ少年

「地上の見知らぬ少年」(1978)は、作家がメキシコ滞在等を経て中南米に対する関心を深めて行った時期に書かれた作品。エッセイのようであり、フィクションのようであり、断章の積み重なりのようでも、長編小説のようでもある。・・・初めてこの地上に降り立った少年の眼に映る世界の姿について、自然や事象や人間について、饒舌に語り、美しく綴っている。

見知らぬ少年は眼の前の道路を見つめている。自転車が点々と繋がれた緑の鉄の手すりに腰掛けたまま、じっと動かない。前の道路を右から左へ、左から右へ通りすぎていく自動車を見つめている。(中略)
もし今近づいていったら、少年が自分のために、そして自転車のために、小さい声で歌っているのが聞こえるだろう。それはこんな風に繰り返しているだけの歌。

ツバメさん!
 ツバメさん!
   ツバメさん!

海は穏やかでなめらかだ。大空のように美しい。深く沈みこんだ、混じりけのない濃密な青。絵の具で塗ったかのような青。これほど美しい色はない。この色が海全体を浸している。(中略)
海を見つめていると、心が奪われる。海には終わりがない。陸地はそこにぽつんぽつんと浮かぶ島でしかない。この大海原こそが、唯一本当の国なのだ。(鈴木雅生訳)


引用部を書き写していて気がついたのだが、これは散文詩だったのか!そんなふうに思えるほど、豊かで美しい文章が続いている。・・・そしてなによりも!さまざまに場面を変えながら繰り返し登場する「少年」の姿が、愛おしいのである。



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