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☆ 銀河鉄道の夜

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』には、すばらしい絵本や、挿絵が付けられた本がいっぱいある。大きな書店の絵本コーナーに行くと、綺羅星のように、いろんな「銀河鉄道の夜」が並んでいる。どれを手にしようかと迷ってしまうのが愉しい。しかし、結局わたしが選んでしまうのは、岩波少年文庫の表紙のようなシンプルなものである。ささめやゆきさんの絵が、この物語にはぴったりだと思うのである。

銀河


「銀河鉄道の夜」(1924~1931頃)には、青がいっぱいだ。   星祭りにこしらえて川へ流す青いあかり、活版所で活字をひろう青い胸あてをした人、青いアスパラガスの葉で飾られた星座早見、草の中でぴかぴか青く光る虫、その虫の光に青くすかし出される葉、祭りの夜に瞬く青い琴の星、夜の軽便鉄道の車室の青い天蚕絨を張った腰掛、少し青ざめたカンパネルラの顔、青や橙や緑やうつくしい光でちりばめられた黒曜石製の地図、青く灼かれたはがねの二本の針がくっきり十一時を指す白鳥停車場の時計、霧のような青白い光を出す鋼玉が混じる河原の礫(こいし)、袋の中で蛍のように青くぺかぺか光ったり消えたりしていた鳥、黒い建物の上でまわる青宝玉(サファイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとおった球、青い旗を振って叫ぶ赤帽の信号手、クリスマストリイのように立つまっ青な唐檜かもみの木、青じろい尖ったあごをしたカムパネルラのお父さん・・・

そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって、しばらく蛍のように、ぺかぺか消えたりともったりしているのを見ました。それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青のそらの野原にたちました。いま新らしく灼いたばかりの青い鋼の板のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。
するとどこかで、ふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションと云う声がしたと思うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて、そら中に沈めたという工合、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫れないふりをして、かくして置いた金剛石を、誰かがいきなりひっくりかえして、ばら撒いたという風に、眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼を擦ってしまいました。
 (第六章、銀河ステーション)



ついこのあいだ、三月の初め、とある街に旅行に行った。車中で、「どちらへいらっしゃるんですか?」、と訊かれたので、わたしは(ジョバンニを真似て)、「どこまでも行くんです。」と答えてみた。もちろん、鼻でふっと笑われただけであった。



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