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289. オクタビオ・パス 青い花束

「青い花束」(The Blue Bouquet )は、パスがフランス滞在時代に書いた短篇集『鷲か太陽か?』(1951)に収録されている。当時のパリのシュルレアリストたちの影響下で書かれた作品だというのだが、この掌編小説というのか、散文の姿をした詩というのか、邦訳だと文庫版で5ページほどの短いこの作品の中には、凝縮された言葉がぎっしりと詰まっている。ぎっしりと詰まり過ぎて、歪になった言葉が、怪しい軋み音をたてている。

背中にナイフのきっ先が当たり、やさしい声がした。
「動かないで。さもないと刺さりますよ」
僕は振り向かずに訊ねた。
「何が望みだ?」
「あなたの目です」。穏やかな、恥ずかし気なといってもよさそうな声がした。
「僕の目だって?何のために?ほら、少しばかり金がある。多くはないが、ないよりましだ。放してくれれば、持っているものを全部やろう。殺さないでくれ」
「こわがらないで下さい。殺すつもりはありません。ただ目を取るだけです」
僕はかさねてたずねた。
「でも、どうして僕の目がほしいんだ?」
「恋人の気まぐれなんです。青い目の束が欲しいって。この辺りに青い目をした者はほとんどいません」
(野谷文昭訳)


引用部の、最後の行、英文はこんな調子である。
'My girlfriend has this whim. She wants a bouquet of blue eyes. And around here they're hard to find.'

この<She wants a bouquet of blue eyes>ってところで、わたしは慄えました。そして、この物語から逃げ出した。


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