302. サンドラ・シスネロス 十一歳

サンアントニオの青い月3


サンドラ・シスネロス(1954~)は、メキシコ系アメリカ人の詩人、作家。シカゴ生まれ。シカゴの”バリオ”(スペイン系の移民たちが住む下町)を舞台にした作品を書くことからスタートした。現在は、テキサス州サンアントニオに住み、この国境の町を舞台にした物語を書いているという。
彼女の第二短篇集(1991)の『サンアントニオの青い月』を読んで、「十一歳」という短編に出会ったとき、これは同じチカーノの作家、ギャリー・ソトの「中学一年」(短篇集『四月の野球』(1990)に収録)という作品と対をなすものだなと思った。あちらは少年の物語、こちらは少女の物語、向こうはハッピーエンド、こっちはなんだか哀しい結末、という違いも、逆に何かぴったしの対称形のような気がしたりするのだった。(ちなみにリョサの『子犬たち』も、ちょっとだけ同じにおいがする)勝手な思い込みだろうか。ともかく、二篇とも、とても素晴らしい作品。大好きな小説になった。

誕生日のことでみんながわかってなくて、絶対にだれも教えてくれないのは、十一歳っていうのは十歳でもあるし、九歳でもあって、八歳でも、七歳でも、六歳でも、五歳でも、四歳でも、三歳でも、二歳でも、一歳でもあるってこと。(中略)要するにじぶんが・・・・・・ゼロ歳から十一歳までの、どの年齢でもあるんだってことなんだけど。
たとえばある日、なんかバカなことをいってしまったら、それってじぶんのなかのまだ十歳の部分。それからもしも、こわくなってママのひざに抱っこしてもらいたくなったら、それってじぶんのなかの五歳の部分。ある日すっかり大人になって、それでも三歳のときみたいに泣きたくなることだってあるかもしれない。でも、それはかまわないのよ。ママが悲しくなって泣きたくなったら、あたし、ママにそういってあげよう。きっとママは三歳になったみたいに感じてるはずだから。
(くぼたのぞみ訳)


シスネロスの小説では、主人公のレイチェルが、十一歳の少女でいるということが、どういうことなのかについて語る。ソトの小説では、主人公のビクターが、中学一年の少年であるというのがどういうことであるのか身をもって示す。いいんだよね、これぐらいの年代ってのが。小説でも、実際の人生でも。




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