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308. ジャック・ロンドン メキシコ人


ジャック・ロンドン(1876-1916)は、約40年の生涯で、約200の短編小説を書いたという。「一日千語」のノルマを自らに課し、短編だけではなく、長編小説はもちろん、ジャーナリストとしても広範なテーマでたくさんの記事を書いた。各地を放浪し、さまざまな職業を経験し、苛烈な体験を繰返した彼の生涯と同じように、彼の書いた小説もまた多彩で峻烈で行動的であった。訳者によれば”剛速球”のようだというロンドンの文章は、たしかにまっすぐこちらに迫ってきて避けるまもなく胸を撃つ。

誰も彼の素性を知らなかった   とりわけ革命組織(フンタ)の人々は。彼はフンタにとっての「ささやかな謎」であり「大いなる愛国の士」であり、彼なりのやり方で、だれにもまけず来るべきメキシコ革命に尽くしていた。この事実に、彼らはなかなか思い至らなかった。というのも、フンタの誰一人、彼のことが好きではなかったのである。(中略)
一目見たときは、ぱっとしない若僧だと誰もが思った。せいぜい十八歳、年齢の割に大柄ということもなく、まさに若僧でしかない。フェリペ・リベラと名乗り、革命のために働きたいと言った。それだけだった。無駄な言葉はひとつもなく、それ以上の説明もなし。ただそこに立って待っていた。唇に笑みはなく、目には少しの愛想もなかった。威勢のいい大男パウリーノ・ベラでさえ、内心寒気を感じた。若者には何か近寄りがたい、恐ろしい、不可解なところがあった。
(柴田元幸訳)



「メキシコ人」(1911)も、まさにそんな作品である。ずしんとくる直球のような小説。
引用したのは、その冒頭部である。ここだけ読むとこの作品は、このあとメキシコ革命について書きすすめられていくのかと勘違いするかもしれないが、これはフェリペ・リベラという若者のはなしである。革命下に生きた、ひとりの青年の峻烈な姿を描いた物語である。短篇集『火を熾す』に所収。



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