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311. ホセ・エミリオ・パチェーコ 砂漠の戦い

パチェーコ(1939-)は、メキシコの詩人、作家。
「砂漠の戦い」(1981)は、1940年代から50年代のメキシコを振り返って、年老いた主人公が、その時代を回想するという形で描かれる。少年時代に友人の母親に恋をしたという思い出が物語の核になっていくのであるが、そのエピソードが、メキシコという国がその時代を歩んできた姿と重なりあって、共振しながら、心に響いてくる。その辺りが読みどころか。・・・過去と現在、大人と少年、国と人間、記憶と現実、それぞれが絡まったり離れたり、単なる思い出としてではなく、時をゆっくりと下って現在のわれわれに迫ってくる。とても巧みな小説だと思う。

わたしはアルバロ・オブレゴン通りを見つめ、自分に言い聞かせ た。この瞬間の思い出をこのままそっとしまっておこう。いまあるものはどんなものでも、絶対に同じままであるはずがないのだから。いつか、まるではるか先史 時代のできごとのように思うことになるのだ。すっかりしまっておこう。きょう、ぼくはマリアーナに恋したのだから。どうなるんだろう?どうにもなりはしない。 何かが起こるはずがない。どうしよう?ジムに会わないために、ということは、マリアーナに会わないために、転校する?同じ年ごろの女の子を探す?でも、ぼくの年ごろじゃ、誰も女の子なんか探しちゃいない。できることといえば、ひそかに、何も言わずに、恋することだ。ちょうど僕がマリアーナに恋しているように。 恋すること。どうにもならない、まったく希望はないと知りながら、恋すること。
(安藤哲行訳)



しかしようく読んでみると、これは巧まぬ散文詩だとも思えてくる。すぐれた詩人のことだ、巧まずとも、ことばが動き出し、文章を紡いでいく。ただその動きにまかせ淡々と綴っていった散文なのかもしれない。そんな気もする。



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