314. レオノーラ・キャリントン 恐怖の館

『恐怖の館』、キャリントン自身のみごとな絵が表紙を飾るこの本を、わたしはずうっと読まないままできた。この表紙の『ダウン・ビロウ』という絵を見ているだけで、彼女の作品のもつ雰囲気にすっかり浸ってしまった、そんな気分になっていたからである。


キャリントン3



次に、ようやく本を開いてみたのだが、という話である。
本を開くと、まず、マックス・エルンストが彼女の本のために描いた扉絵がある。そして、同じくエルンストが書いた”序文”がある。ここで、また数日停滞する。彼がここで繰り返し書いている”馬”のイメージが、どうも気になって進まないのである。

その次に、ようやく第一篇の「恐怖の館」という作品のページを開いてみる。すると、そこには・・・、
またしてもエルンストが描いた挿絵(みごとなコラージュ)が添えられているではないか。もしや?と、わたしは考えてみる。もしやこの作品集の全ての短編に、こんな挿絵が付けられているとしたら?期待が膨らむばかりである。

短編を読むのを後回しにして、わたしはページを進める。
エルンストのコラージュが1枚、もう1枚、さらに1枚・・・、そして10枚まで数えたところで、突然、挿絵の付いたページがなくなってしまう!まだ一冊の本の半ばまで進んだところなのに。膨らんだ期待が萎む。戻って、10枚のコラージュを眺めることにする。

ある日正午を三十分過ぎた頃にある場所を歩いていると、私は一頭の馬に呼びとめられました。
「ついておいで」暗く狭い路地の方に頭を振って、馬は言いました。「君だけに見せたいものがある」。
「時間がないのですけれど」と答えながらも、私は馬について行きました。・・・
(野中雅代訳)



引用は、表題作「恐怖の館」(1937-1938)の冒頭の部分。
ここにも”馬”が登場して、なにやら奇妙な物語の幕を開ける。ようやく読み始めてみたこの物語を、わたしはこころより愛するものである。エルンストの大胆で力に満ちたコラージュと、レオノーラの細やかで幼児性を帯びた想像力が不思議に調和しているように感じられて楽しくてしかたがないのである。



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