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322. イアン・ワトスン ヨナ・キット


物語の舞台は、サハリン(樺太)とメキシコ。ロシアでは生物学者(脳科学者)がメキシコでは天文学者(宇宙物理学者)たちが、それぞれ驚くべき研究を進めている。念の為に書き添えておくと、サンリオ文庫版の表紙カバーには『メキシコのアンデスにある天体観測所』という説明があるが、メキシコにアンデス山脈は無い。正確には、観測所の拠点はメキシコのメザピコ村にあり、別途、アンテナをアンデス山中にも設置している。

その電波受信装置は、特別な型に作られた巨大な耳にも、また人を呼ぶ折に丸める手にも似ていた。ポールの一行が出かけるさい、原住民のメザピコ・インディアンの一群はアンテナに向けて口笛を鳴らし、反響音が返ってくると満足そうにうなずいた。インディアンの表情ではアンテナの使い方を心得ているようだ。アメリカ人にはあのバカでっかいマシーンを生かすことができないというわけだ。事実それは紐につながれた山羊よろしく弧を描くだけで、音を発しなかった。
口笛はコクジラの移住が始まっていると告げているのを、リチャードは知っている。昨日から原住民はこのニュースを山の上に向けて伝えていたのだ。(中略)
「その気になれば、メザピコの原住民は口笛でクジラに向かっても自分らの意思を伝えられます」リチャードはぎこちない笑いを浮かべた。
(飯田隆昭訳)



イアン・ワトスン(1945~)には、『スロー・バード』(1985)というSF短編集があって、例えば ”地球上のあらゆる距離が増大してしまった!”・・・というようなとんでもない奇想で笑わせてくれる。
一方、初期長編の「ヨナ・キット」(1975)を読むと、なんて観念的で難解な作家なんだと誤解しそうになる!しかし、この二つの作品が対極にあるといってしまうとつまらないのであって、むしろこの二つの作品をつなぐものを感じようとする方が面白い。ところが、せっかくこの作家の面白さを突き止めたとしても、イアン・ワトスン自身が長い休筆状況にあるんだものなぁ。



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