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349. ロベルト・ボラーニョ センシニ

ボラーニョ(1953-2003)については、先に「野生の探偵たち」(1998)について記事を書いた。この長編は、メキシコの<はらわたリアリズム>の詩人たちを描いた眼が眩むほどの快作であった。だから、今回はもっと当たりのやわらかそうな短編を選んでみたのである。

僕とセンシニが親しくなったいきさつは、どう考えても普通とはいえない。あのころ僕は二十代で、食うや食わずの生活をしていた。ジローナの郊外で、妹と義弟がメキシコに引っ越したときに残していったボロ屋に住み、バルセロナのキャンプ場での夜警の職を失ったばかりだったが、そのせいでいっそう夜型になってしまっていた。友だちはほとんどおらず、することといえば、ものを書き、外を長いこと散歩するくらいだった。出かけるのは午後七時、起きてすぐは時差ぼけのような感覚で、自分がそこにいていないような、周りの現実から浮いているような、なんとなくたよりない感じが続いた。夏の間に貯めた金で生活していたが、ほとんど使ってもいなかったのに、秋が近づくにつれて減っていた。たぶんそれでアルコイ市のスペイン文学賞に応募する気になったのだろう。
(松本健二訳)



「センシニ」は、作品集『通話』(1997)に所収。作家自身を思わせる主人公の「僕」が、スペインに亡命中のアルゼンチンの作家と出会い、二人はいろんな”地方文学賞”に応募する作品を書きながら、交流を深めていく。そんな話である。つまり、ボラーニョは、いつも詩人や作家についての物語を書き続けざるを得なかった。当たりがやわらかいなんてとんでもない、深く静かなエネルギーに満ちた作品。



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