スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

352. サラ・パレツキー サマータイム・ブルース

パレツキーの「サマータイム・ブルース」(1982)、シカゴを舞台にした女性私立探偵 ”V・I・ウォーショースキー”のシリーズ第一作である。このシリーズは82年から始まって、全14篇。今も、書き続けられている。物語の中で「 ヴィク 」も年齢を重ね、既に40代であるはずだが、その格好良さは変わっていない。悪く言えば直情径行、真相を明らかにする為には、あえて泥海に飛び込み、自ら傷つくことを恐れない。犯罪者のみならず、周辺の男性至上主義者をも打ちのめしていく。・・・なんて書くとスーパーウーマン物語のようだが、そうではないところがこのシリーズの面白さである。「 ヴィク 」は、頑固で攻撃的で惚れやすく潔い、しかし私生活はだらしがないところもある、汚れたジャージを取り出して、まあいいかとランニングに出かけるタイプである。まさにヴィヴィッドにそして逞しく生きている。

わたしたちは電話を切り、わたしは〈カートウィール〉にふさわしいエレガントなドレス、ただしゆったりして裾の長いものはないかと洋服だんすを見まわし、忘れていた派手な色のメキシカン・ドレスを見つけ出した。床までの長いスカートと、ウェストできゅっと絞って裾を広げた四角い襟ぐりの手織りのブラウスとを組み合わせた、ツーピースである。長い袖が腫れ上がった腕を隠してくれるし、パンティストッキングもスリップも必要ない。コルクのサンダルで装いの仕上げをした。
浴室の照明の下で自分の顔を点検したわたしは、人前に出るのを考え直したくなった。アールの小指の指輪になでられた下唇は脹れ上がり、左顎には紫色のあざができていて、そこから目にかけて、ひび割れた玉子のような静脈の線が頬に赤く浮き出ている。(中略)
店は混みあっていた。ラルフが酒を前に、カウンターの端にすわっている。わたしが入って行くと、顔を上げて微笑を浮かべ、手を振るしぐさをしたが、席を立とうとはしなかった。わたしはなめらかに歩くことに全神経を集中して、ようやく彼のすわっている席にたどり着いた。彼は腕時計を見た。「すべりこみセーフ」
いろんな意味でね、とわたしは思った。
(山本やよい訳)



”キンジー”(スー・グラフトン)を取り上げたので、必然的に”ヴィク”も、となったのであるが、このシカゴの探偵は、メキシコになんか出かけゃしないのである。仕方がないので、メキシカン・ドレスを着た”お洒落なヴィク”を引用してみた。・・・マフィアに拉致され捜査から手を引けと殴打された跡が生々しい状態でデートに出かけるところである。たしかにジャージしか着ないキンジーと比べるとおしゃれなのだろうが、このメキシカン・ドレスなるものだけはキンジーにあげたほうがいいと、わたしは思うのだがどうだろうか。



にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ




関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。