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358. トニイ・ヒラーマン 魔力

「魔力」(1986)は、ナヴァホ族の二人の警察官、リープホーン警部補とチー巡査を主人公とする警察小説シリーズの一冊である。シリーズ八作目にして、初めて二人が同時に登場する記念すべき作品であった。・・・物語の舞台は、アメリカ南西部の”大保留地”である。アリゾナ州からニューメキシコ州にまたがる砂漠地帯に置かれたナヴァホ・ネイションで起こる事件を描いている。

リープホーンの地図は彼の奇癖のシンボルとしてナヴァホ警察じゅうに知られていた。それは彼の机のうしろの壁のコルク板に貼られた、南カリフォルニア自動車クラブ発行の普通の”インディアン・カントリー”地図で、詳細なのと正確なことで評判だった。しかし。リープホーンの地図が注目を引いたのは、その使い方だった。
それは百個もの色つきのピンで飾られていた。それぞれの色は犯罪の種類をあらわしていた。(中略)目下のところリープホーンはまん中が白い茶色の三つのピンだけに関心を持っていた。それは例の殺人事件だった。
殺人は保留地では珍しかった。変死はたいがい偶発的で、酔っぱらいがよろめいて自動車にはねられるとか、バーの外での酔漢の喧嘩とか、アルコールによる家族不和の爆発とか   そういうたぐいの故意でない暴力が原因で、即座に解決されるものだった。茶色と白のピンがあらわれても、一日か二日以上残っていることはめったになかった。
だが、いまは三つとも残っていた。何週間もリープホーンのコルク板に、そして彼の意識に突き刺さっていた。
(大庭忠男訳)



同シリーズは、全18作(邦訳10冊)が出版されている。「魔力」ではアンソニー賞も取り、80年代を代表するミステリの一つとなった。そして、探偵小説も警察小説も、けっしてアメリカ中産階級の白人ばかりが主人公ではないことを証明した作品のひとつであるとも言える。

PS. ナヴァホ族の伝統的な故郷は、ナヴァホ語でディネタ(Dinétah)といい、アリゾナ北東部とニューメキシコ西部、北にはユタとコロラドがある、4つの神聖な山々の境界にある土地だった。キャニオン・デ・シェイなどの峡谷の肥沃な谷底で農作と牧畜を営んでいた。アメリカ南西部のインディアン部族集団の長い歴史上の特徴として、スペイン人、メキシコ人、プエブロ族、アパッチ族、コマンチ族などと戦いを繰り返していた。1846年にはこの関係に合衆国の白人入植者も加わった。米墨戦争以前は彼らはメキシコ領土内に住むメキシコ・インディアンであった、などという言い方は間違いである。



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