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378. レオ・ペルッツ 第三の魔弾

ペルッツ(1882-1957)は、オーストリア人の作家。「第三の魔弾」(1915)は、彼がドイツ語で書いた”幻想的歴史小説”の第一作である。世紀末のプラハとウィーンで育った作家が、二度の世界大戦のはざまで書いたこの作品は、とんでもない怪作であり、驚くほどの傑作である。

スペイン人が一人の娘っ子の悲鳴のおかげでグルムバッハを屈服させたこの日、今度は彼ら自身が当地の森に生える緑色の生き物のような蔦に制圧されるということが起こったのだった。
蔦は密林の四方から迫ってきた。はじめのうちは茨の生け垣のようにスペインの陣営を取り囲んでいたが、夕刻にはもうすぐ近くまで這いよってきて、夜になると、密偵のようにこっそり地面を進み、陣営の通路まで入ってきた。支柱や木の足場にぶつかると、そこを伝いのぼった。歩哨の矛盾に巻きつき、小銃を地面に溺め取った。あっという間に緑の絨毯となって地面を覆い、木の水桶に緑の格子をめぐらせ、幕舎 と幕舎に橋を架けた。蔦の襲撃は次第に激しくなり、狭い陣営の通路はたちまち封鎖された。(中略)一同は斧をふるい、火で焼いて、繁茂する蔦の間にやっとコルテスの脱出路をつくるありさまだった。
この国の不思議と言うべき蔦は三日三晩ここに留まっていたが、三日目の夜、黄色い花をいっぱいつけ、その香りが人の頭を酔わせ、狂わせた。それから、蔓延したときと同じようにさっと姿を消した。スペイン人たちはこの蔦を悪魔の小麦と呼んだ。
悪魔の小麦が花をつけ、その毒気で人間の精神を狂わせたこの三日目の夜、グルムバッハは三発の魔弾と小銃を手に入れたのだった。
(前川道介訳)



物語の舞台は16世紀初のメキシコ。まさにコルテスのメキシコ征服が進行する時代である。ただし、主人公はコルテスではなく、スペイン人到着に先立って此の地に定着しアステカ人と友誼を結んでいた(という設定の)ドイツ人たち・・・ライン伯グルムバッハと部下たちの姿が描かれる。物語はまるで海野十三か国枝史郎の作品のように痛快に疾走し、地の果てで息を絶つ。友人は、小栗虫太郎のようだという感想をもらしたが、それはどうか。



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