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381. ジェイムズ・リー・バーク シマロン・ローズ

「シマロン・ローズ」(1998)は、弁護士ビリー・ボブ・ホランドを主人公としたシリーズの第一作。98年度のMWA賞受賞作である。なるほどこの長編はリー・バークの凄みがようく現われた力作で、”癒せぬ傷を抱えた男の誇りと哀しみを円熟の筆致で描くネオ・ハードボイルドの最高峰!”というようないささかはずかしい出版社の惹句にもつい頷いてしまいそうになるくらい、この物語にはぎっしりといろんなものが詰められていて呻らされてしまう。
・・・主人公は、元テキサスレンジャーの弁護士。警官時代に、誤って親友でもあった同僚を撃ってしまったという過去を引きずっている。時折り、この友人L・Qの亡霊がホランドの前に現われてくる。

夜明け前に目覚め、キッチンでハムエッグを焼いてフライパンごと裏のポーチに持っていき、パンやコーヒーと一緒に食べた。明るんできた空は薄曇りで、大地には朝靄がかかり、空気はひんやりと柔らかく、遠くの音まで耳に届いてくる。農地の裏手の湖で水面をバスが跳ねる音、風見鶏が風の方向に向きを変えるときのきしみ、隣家のゲートでカウベルがガランと鳴る音。
センダンの木の下にある白くペンキを塗った鋳鉄製のガーデンベンチに、L・Q・ナバロは長々と寝そべっていた。カウボーイハットを斜にかぶり、片腕を枕にしている。
私は無視しようとした。
しかし目を閉じると、L・Qと私はふたたび馬に乗っていた。夜陰に乗じてメキシコ北部コアウィラ州の国境を越えようと、芦が枯れて泥の底が剥き出しになった涸れ谷を進んでいるところだった。・・・
(佐藤耕士訳)



リー・バークのハードボイルド小説は、別に「デイヴ・ロビショー」シリーズがあってこちらは現在も書き続けているらしいが、ホランド・シリーズの方は、全4作(邦訳は2作)で止まっている。あれだけ中身の濃い作品を2シリーズ掛け持ちで書いていくのは、さすがのリー・バークの剛腕でも難しいのかと、そんなところで感心をしたり、そういえばロビショー・シリーズの方も最近のは訳出されていないんだなと、あらためて懐かしがったりしたのでありました。



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