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382. クレイグ・マクドナルド パンチョビリャの罠

「パンチョビリャの罠」(2007)、威勢のいいクライムノベルである。みごとなケレンと立派な饒舌に酔うばかりである。しかし面白い小説だなあと、牧歌的な感想に浸っているわけにはいかない。これが70年代とか80年代に書かれたのではなく、2007年の作品だということを考えると、実はこれはクライムノベルのパロディなんだよとか、胡蝶のみた夢でしたとか、ぼんやりしていると落とし穴にはめられるんだきっと、そんなふうに思いながら読んだ。ところが、最後まで面白く読みきらせてしまうんだものなあ。

メキシコはシウダーファレスの安酒場の個室。三杯めにさしかかったころ、ビル・ウェイドがおもむろにテーブルの下から薄汚れたダッフルバッグを引き出し、メキシコ人将軍の首をつかみ上げると、無造作にテーブルに置いた。(中略)
私は安物のテキーラをあおって顔をしかめた。テーブル越しに手を伸ばし、ラグの四隅を持ち上げて首を覆った。
「ちょっと、勘弁してくださいよ」”バド”・フィスクがつぶやく。この私にインタビューしにはるばるやってきた、ひよっこ詩人だ。「そんなもの、こんなところでいきなり出すなんて」
(池田真紀子訳)



物語は、1957年のメキシコを舞台として始まる。登場するのは、犯罪小説家のヘクター、彼にインタビューに来た本職は詩人のバド、そしてメキシコの伝説的な革命指導者のパンチョ・ビリャの首・・・。
腰巻の惹句に”エルロイ+ケルアック+コーエン兄弟+タランティーノ=クレイグ・マクドナルド”とある。たしかにそうだ。面白さは十分だ。しかしなんとなく後味がすっきりしない。
問題は、例えに上がった作家たちの”いいところどり”をしているようで、ようく読むと逆に先達たちの”悪いところどり”をしてしまったという感じがすることだ。ケレンと饒舌が達者すぎて鼻につく。そんなふうに見事にデビュー長編を書きあげないでくれよ、と言いたくなるのは贅沢なんだろうか。



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