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391. パコ・イグナシオ・タイボⅡ世 三つの迷宮

メキシコの探偵小説である。みごとに”ハードボイルド”している。
登場人物がみんな魅力的であるし、1970年代のメキシコシティを舞台にした物語の設定も展開も結末も気が利いている。この作家の別の作品を読みたくなる。この探偵シリーズの続きが読みたくなる。メキシコの探偵小説ももっと読みたくなる。
・・・ただし叶えられるのはひとつだけだ。タイボⅡ世の作品は、幾つか邦訳されているのだが、このシリーズは訳出されていないし、タイボⅡ世以外にはハードボイルド探偵小説の書き手はどうもいないようなのである。

冗談みたいなものだった。それもきわめて質の悪いやつだ。メキシコの探偵だなんて、冗談にもほどがある。こんな仕事がほかにあるだろうか。なにしろ探偵になってから、じつにいろんなことがあった。たとえば、この六カ月という短い期間に六回も命を狙われた。(中略)
そうしてこの半年を無事に生き延びるあいだ、探偵であることを深刻に受け止めたり軽く受け流したりしてきたが、とりわけ深刻なのは、この質の悪いジョークが、自分だけのものであるのをやめてしまったことだった。つまりこの質の悪いジョークが、メキシコシティ全体の重要部分、いやこのメキシコというどうしようもない国全体の重要な部分となっていることにいまさらながら気づいたのだ。
そしてこの国で許されないことがひとつあるとすれば、それは自分の人生を深刻に考えすぎて、このジョークを理解できずにいることだ。
それはなんと孤独なことか。
(佐藤耕士訳)



タイボⅡ世は、1949年、スペインに生まれ、後にメキシコに移住し、1980年に帰化した。「三つの迷宮」(1977)、は「私立探偵エクトル・ベアスコアラン・シェイン」シリーズの第二作である。第一作の「闘いの日々」(1976)を含めて、その他は邦訳されていない。
ミステリマガジンの記事(佐藤勘治『メキシコ・ミステリ事情』)によると、99年の時点で、このシリーズは第9作まで出版されているのだという。でも今さら訳出されないんだろうなぁ。残念ったらないのである。




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