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427.澁澤龍彦 空飛ぶ大納言 (フルーツ小説百選)

「空飛ぶ大納言」(1979)の舞台は11世紀から12世紀の日本、主人公は藤原道長の後裔である大納言成通卿、彼は稀代の蹴鞠の名人であった。

「わしは飛びたいのじゃ。鞠と一つになって、宙に舞いあがりたいのじゃ。」
自制したつもりなのに、思わず声が大きくなった。春陽花はしかし、左右にひかえた二人の仲間と目を見交わすと、意味ありげな笑いを浮かべて、だまってうなずいた。(中略)
「飛ぶのは簡単、なんでもございませぬ。夢のなかでは、だれしもが飛んでいるではございませぬか。」
「なるほど、夢で飛ぶ。そういえばそうじゃ。わしも子供の時分には、よく空を飛ぶ夢をみたものだが、どうも近ごろはとんとみなくなったようじゃ。それにしても、夢で飛ぶのでは飛んだとしても仕方があるまい。」
「いや、必ずしもそうとばかりは申せませぬ。夢というものを馬鹿にしたもうな。そもそも、この鞠というのは、じつは夢の木の果実だということにお気がつきませぬか。」


この鞠は“夢の木の果実”である、という記述に、唖然としない者がいるだろうか。
わたしなど、唖然とするばかりでなく、驚愕し、戦慄し、魅了されたあげくに、思わず本を投げ出した。この澁澤の短編は、この一行をもって、蓋し名作と呼ばれるべきだろう、呼ばれるべきだろう、呼ばれるべきだろう・・、



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