430.島崎藤村 二人の兄弟 (フルーツ小説百選)

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近くの公園へ行って、エノキの実を拾ってきた。
ほんの小さな実である。ちいさな実であるが、熟すときれいな深いオレンジ色になる。葉はぎりぎりまで意地をはってなかなか紅葉しないが、いざとなると美しい黄色になる。おまけに、この実は食べると旨いらしいのである。

皆さんは榎木の実を拾ったことがありますか。あの実の落ちて居る木の下へ行ったことがありますか。あの香ばしい木の実を集めたり食べたりして遊んだことがありますか。
そろそろあの榎木の実が落ちる時分でした。二人の兄弟はそれを拾うのを楽みにして、まだあの実が青くて食べられない時分から、早く紅くなれ早く紅くなれと言って待って居ました。
(第一章 榎木の実)


都合のよいことに、手許にはエノキの実が登場する物語もある。雑誌『赤い鳥』の創刊号に掲載された島崎藤村の「二人の兄弟」(1918)という一篇である。
わたしはこの短くて一見なんの変哲もない童話が大好きである。途中までは平板でありふれた子ども向けの教訓ばなしかと思わせておいて、ひょいと付けてくれる”おまけ”の素晴らしいこと。モノクロ映画に突然挿入されたパートカラー・シーンのように、あざやかに目に映るおまけの一行なのでありました。



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