スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

436. アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ 人間の土地 (フルーツ小説百選)

「人間の土地」(1939)は、作家の職業飛行家としての経験を基に書かれた小説である。飛行機による長距離輸送の黎明期に於いて、パイロットたちは何を体験したか。
・・・たしかにこれは、サン=テグジュペリのもうひとつの代表作と呼ぶにふさわしい名作だと思う。例えて言えば、ギャビン・ライアルの航空冒険小説を思い出したのがはずかしくなるくらい。

それにしても、あの晩、なんと不思議きわまる地理学の講習を、ぼくが受けたことか! ギョメはぼくに、スペインを教えてはくれなかった。彼はスペインをぼくの友達にしてくれた、彼は、水路学のことも、人口のことも、家畜賃貸のこともまるで語らなかった。彼はまた、ゴーデスについても言わなかった、ただジーデスの近くに、ある原っぱを囲んで生えている三本のオレンジの樹について、<あれには用心したまえよ、きみの地図の上に記入しておきたまえ・・・・・・>と、言った。するとたちまちにして、その三本のオレンジの樹が、地図の上で、シェラネヴァダの高峰より幅を利かすことになるのだった。
(堀口大學訳)


引用は、物語の冒頭、若手操縦士である”ぼく”が、初めて長距離輸送便に起用されるに当たって、先輩パイロットからアドバイスを受ける場面。
気象変化や故障による”不時着”が当たり前であったこの時代、パイロットの地理学として必要な知識は、高峰や大河の位置ではなくて、草むらにかくれるように流れる小川や、牧原に待ち構える羊や、原っぱを囲んで生えているオレンジの樹の方であるのだという。


にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ




関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。