55.エリザベス・ボウエン エヴァ・トラウト

「エヴァ・トラウト」(1968)は、ボウエン、最後の長編。邦訳は、2008年、国書刊行会。それがどんなに待ち遠しかったことか。「日ざかり」と「パリの夜」以外の長編は邦訳が無く、長いあいだどれも読めなかったのである。短編もいいのだが、やはりボウエンは長編の魅力が大きいと思うのだが、どうだろうか。

親愛なるエヴァ、
いままで一言の便りもせず、申し訳ありません。でも心配しないで、色々と動き始めていますから。金持の未亡人が僕の探しているもの、ここにいる男の子の一人にそれらしい伯母さんがいます。でもどうでしょう、僕が広告してみるというのは、暗号でも使って?その時は、僕に現金を送って下さい。
君はいつまでもちこたえられますか?君を非難する声は、いまのところ、上がっていません、僕の聞くかぎりでは、というよりも僕が聞かないかぎりでは。先の週末(試合は勝ちました)は帰宅しなかったけど、母は手紙にも何も書いてきませんでした。もし警察が君の骨を捜してラーキンズ荘の庭を掘り返していたら、母はそう書いてきたでしょう。
オールド・キャセイ邸ではうまくやってる?デンジ&ドウーザボーイズにこれ以上別料金を吹っかけられないように。どんな型の自転車を探しているの?ぜひ聞かせて。いまはこれ以上何もないけど、何か報告することが出てきたら書きます。(太田良子訳)


引用文は、或るとき行方をくらましたエヴァ(当時24歳)に宛てたヘンリー(当時12歳。8年後にエヴァに求婚する)からの手紙。エヴァは、それまで乗り回していたジャガーを売り払い、田舎の古い家に隠れ、自転車の生活に変わろうというのだが。
…まだまだこれから物語は波乱万丈紆余曲折、思いがけない結末部まで一気に読まされることになる。晩年の作品らしく滋味にあふれている。

関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク