★エリナー・ファージョン レモン色の子犬


The_Little_Bookroom_cover.jpg  ムギと王さま


岩波少年文庫、石井桃子の訳業、素晴らしい物語の宝庫である。
中でも、わたしが好きなのは、これである。

「レモン色の子犬」(1955)は、短篇集『ムギと王さま』に所収。木こりと王女の恋ものがたりである。ファージョンの数ある作品のなかでも、大好きな一篇。正真正銘の五つ星のおはなしである。
・・・引用部は、木こりの少年ジョーが王女のねこをみつけたほうびに、王さまから何がほしいかと問われる場面。ここに登場する子犬の耳の色がレモン色なのである。

ジョーは、王女さまがほしいといいたかった。王女さまなら、ジョーのクランバー種の子犬とほんとによくつりあったのだ。王女さまの髪は、ちょうど子犬の耳の色とおなじだったし、王女さまのやわらかい茶色の目は、スパニエルにもひけをとらず、とけるようにショーを見ていた。けれども、もちろん、王女さまは話にならなかった。だから、ジョーは答えた。
「あっしに、王さまの木こりをつとめさせていただきとうございます。」
(石井桃子訳)


この短編集の原題は、『THE LITTLE BOOKROOM』という。
ファージョンは、子供のころ学校へ行かず雑多な本がいっぱいつまった「本の小部屋」にこもって本を読んでいたそうだ。そして作家となったファージョンが 書いたのも、雑多でとりとめもなくてそして小部屋にこもっていつまでも読みふけりたくなるような、そんな本ばかりだ。
でも、彼女の恋ものがたりは、ちょっと特別である。こんなにステキな物語を読んだよと、みんなにふれてまわりたくなる。「レモン色の子犬」は、そんな作品だと思う。


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