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450. イーユン・リー 柿たち (フルーツ小説百選)

「柿たち」は、彼女の第一短編集『千年の祈り』(2005)に収録の一篇。
・・・イーユン・リーは、1972年北京に生まれ、大卒後、渡米。その後、作家を志望するようになったという。『千年の祈り』は、英語で書かれた作品集である。

「天罰だな。この干ばつは」わたしらはずっと黙って煙管をふかしていたのだが、ようやく誰かが口をきく。
「ああ。ずいぶん人が死んだからな」
「そう言うなら天が喜ぶことはありえんぞ。人はいつだって死ぬんだから」
「だから雨は二度と降らんよ」
「そりゃけっこうだ。どっちみち野良仕事には飽きたね」
「よし。それで天がおしおきにおまえの尻をたたきに来たら、もたもたしないでケツ出せよ。ここかゆいんで、かいてくださいってな」
「そういうのを楽天主義っていうんだ。泣いて許しを乞うよりいい」
「そんなのふぬけ柿だ。おれなら天のケツをまくってたたきかえしてやる」
「おっとここに英雄がいるぞ」
(中略)
「もしふぬけ柿に生まれついたら、そのままでいたほうがいいってな」  なぐさめのような昔の知恵を言う者がいる。
「柿はふぬけに生まれるんじゃない」
「でも柿はやわらかいほうが価値が高いぞ」
「熟しているほうが、だろ」
「で、やわらかくて熟した柿のままでいると、どうだってんだ」
「天が飽きるまでしぼりあげてくれるのさ」
(篠森ゆりこ訳)


物語の舞台は、中国の寒村。
老人たちの会話で、淡々と進行するこの物語は、しかし凍えるような怖ろしさを秘めている。
(わたしなら、柿なんかに喩えられたくない)
静かで、簡潔で、抑揚を押さえた文章の調子が、逆に、その恐ろしさを増幅して迫ってくる。
母国語ではなく、英語で書く意味が、そんなところにもあったのかと、そんな気がした。



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