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56.夏目漱石 夢十夜

「夢十夜」(1908)は、ひとつひとつの話がとても短いのがいい。疲れないから夏向きである。
不思議で奇妙なはなしばかりであるので、暑気払いにいいのかもしれない。
しかし、なんど読んでも、漱石はなんて奇妙な物語を書いたのだろう。この第八夜も充分におかしなはなしなのである。

床屋の敷居を跨いだら、白い着物を着てかたまっていた三四人が、一度にいらっしゃいと云った。真中に立って見廻すと、四角な部屋である。窓が二方に開いて、残る二方に鏡が懸っている。鏡の数を勘定したら六つあった。(中略)
鏡に映る影を一つ残らず見るつもりで眼をみはっていたが、鋏の鳴るたんびに黒い毛が飛んで来るので、恐ろしくなって、やがて眼を閉じた。すると白い男が、こう云った。
「旦那は表の金魚売を御覧なすったか」
自分は見ないと云った。白い男はそれぎりで、しきりと鋏を鳴らしていた。すると突然大きな声で危険(あぶねえ)と云ったものがある。はっと眼を開けると、白い男の袖の下に自転車の輪が見えた。人力の梶棒が見えた。と思うと、白い男が両手で自分の頭を押えてうんと横へ向けた。自転車と人力車はまるで見えなくなった。鋏の音がちゃきちゃきする。(第八夜)


第一夜は、いつのまにか百年が来ていたんだな、という話。第二夜は、いつまでも悟れぬのが無念だという話。第三夜は、背中の子が急に石地蔵のように重くなる話。第四夜は、とうとう河から上がって来なかった爺さんの話。第五夜は、鶏の鳴く真似をした天探女は自分の敵であるという話。第六夜は、運慶を真似て仁王を彫ろうとする話。第七夜は、乗合船から海へ落ちて行く男の話。第八夜は、床屋で白い着物を着た男たちに出会う話。第九夜は、夢の中で母から聞いた悲しい話。第十夜は、パナマ帽など被るんじゃなかったなと、そんな話。

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