スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

454. エリザベス・ボウエン ザ・ジャングル (フルーツ小説百選)

「ザ・ジャングル」(1929)、邦訳はミネルヴァ書房版の短編集『あの薔薇を見てよ』に所収。
ボウエン、得意の”少女小説”である。期待通りに、魅せられてしまって、あとは唸るだけ。
この短編集には、別に、「林檎の木」(1934)という”フルーツ小説百選”にはもってこいのタイトルを持つ一篇もあるのだが、わたしのお気に入りは断然こちらの方である。

ある日曜日、朝食のあと朝の礼拝までの空き時間に、ドアを出るところで二人はすれちがった。
「ハロー!」とエリース。
「あら、ハロー!」
「出る?」
「ああ、うん」レイチェルは気軽に言った。
「とくに行くところは? あたし、摘み忘れた林檎が三個残っている木を知ってるの。そこまで行って、ちょっと見て  
「ええ、そうしましょう」レイチェルは賛成した。二人は腕を組んで出発した。
(太田良子訳)


少女の物語というと、吉田秋生の傑作、「櫻の園」をいちばんに思い出してしまうのだからわたしの読書体験もたいしたことはないが、ボウエンにかかるとほぼ同じ題材がこんなふうな妙に入り組んだ残酷で美しい物語になるのだから、あらためてこの百年前の英国作家の凄腕に感嘆してしまう。

この短編集には、他にも、「割引き品」(果樹園のスモモ)、「少女の部屋」(苺)等々、フルーツ小説の佳品が満載である。”絶版にならぬうちに、ぜひ確保しておくべき一冊”というランキングがあれば、わたしはこれを挙げる。


にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ




関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。