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467. オルハン・パムク 無垢の博物館 (フルーツ小説百選)

無垢の博物館


「無垢の博物館」(2008)、小説の舞台は1970年代のトルコ、イスタンブール。
登場するのはケマル、三十代の男、これは彼の愛の物語である。
物語の途中で、彼が愛する女性の為に、映画製作に関わる場面がある。
その社名は「レモン映画製作社」。
いい名前だなぁ。
・・・しかし、この部分を採って、『フルーツ小説百選』にと思ったら、それは大きな間違いだった。レモンとは、彼女が飼っていたカナリアの名前なのだという。

トルコ初のフルーツ味サイダー、メルテム。その新聞広告やテレビコマーシャル、あるいはイチゴや桃、オレンジにサクランボといった味の実際の製品がわたしの博物館には展示してある。あのころの満ち足りていて愉快な、そして溌剌とした雰囲気や、脳天気さを思い出させてくれるからだ。
(宮下遼訳)


”博物館”とは、後に、彼が愛した女性の持物や思い出の品を展示するために作った私設博物館を指す。”フルーツ味のサイダー”は、まさに恋愛が始まった頃の彼の気分を象徴するアイテムとして示されている。物語の最後にも、このサイダーにまつわる小さなエピソードが登場してくるのだが、それがすこし哀しい。

PS.2012年に、この博物館は実際のものとなった。
イスタンブールの新たな観光名所となっているようだ。
画像は、このミュージアムの階段である。



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