471. P・G・ウッドハウス オレンジ一個分のジュース

「オレンジ一個分のジュース」(1935)は、P・G・ウッドハウス の“ミスター・マリナー”シリーズの一篇。謎の紳士マリナー氏が語るのは、どれも彼の親戚たち(無数の甥や縁者たち)にまつわる物語である。
・・・イギリス流のユーモア小説、大好物である。しかし、ウッドハウスの作品は、ちょっと苦手である。特に長編の”ジーヴズ”はどうしても楽しめない。しかし、こちらの”マリナーもの”の短篇なら、わたしだって頑張れば笑えるのである。

名医が失恋した若者に与える処方は、軽い食事と決まっている。これを守らないと、ギリシャ悲劇なみに確実な破滅が待っているのだ。鉄の胃袋を持った男でも、失恋の痛手に耐えるために炭水化物をガツガツ詰めこむのは限度がある。ほどなくウィルモットは消化不良に苦しむはめになり、生まれて初めて医者にかかる仕儀となった。選んだ医者というのが、荒療治で有名な男だった。
「朝起きたら」と、医者はウィルモットに指示した。「オレンジ一個分のジュース。昼食には、オレンジ一個分のジュース。夕食には」   と、期待させるように間を置いて  「オレンジ一個分のジュース。これで食間には何も要らんと思うが、日中に  夜間にも  フラフラするようであれば、まあ、そうだな・・・・・・オレンジ一個分のジュースはさしつかえなかろう」
(岩永正勝、小山太一訳)


編者解説によれば、マリナー氏の親戚縁者は優に五十人を越えるそうだ。
同じく編者は、”フィクションの中とはいえ、これほどの親戚縁者がいたとは信じ難い”と書いている。・・・ホラ、頑張れば笑えるでしょう。



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