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477. アーネスト・ヘミングウェイ 世の光 (フルーツ小説百選)

「世の光」は、短編集『勝者に報酬はない』(1933)に所収の一篇。後に、作家の死後に出版された作品集『ニック・アダムズ物語』(1972)にも収録された。
物語に登場するのは、"ぼく"とトムの二人の若者、そして駅の待合室で出会う五人の娼婦と六人の白人の男性、四人のインディアン、である。

ぼくらはその町の一方の端から入ってきて、反対側から出ていくつもりだった。(中略)
駅に着いてみると、待合室には娼婦が五人に白人の男性が六人、それに四人のインディアンがいた。中は込み合って、ストーブの熱気に包まれており、蒸気がむっとたちこめていた。ぼくらが入っていくと、みな黙り込んでいて、出札の窓口も閉まっていた。
「ドアを閉めてくれよ」だれかが言った。(中略)
「いま閉めるよ」ぼくは言って、ドアを閉めた。
「ありがとう」彼は言った。ほかの男たちの一人が鼻で笑った。
「コックといい仲になったことはあるかい?」その男はぼくに言った。
「いや」
「そいつとなら、いい仲になれるぜ」彼はドアを閉めてくれ、とぼくに言ったコックのほうを見た。「そいつも喜ぶさ」
コックは口を固く引き結んで、その男から顔をそむけた。
「そいつはな、レモン汁を自分の手に塗ってやがるんだ」その男は言った。「で、汚れた水の中には、絶対に手を突っ込まない。だから見ろ、あんなに白いだろう、手が」
娼婦の一人が大きな笑い声をあげた。(中略)
「もっと真面目に話せないのかい?」コックが言った。
(高見浩訳)


ン十年前に初めて読んだ時の感想を恥ずかしながら告白すると、これは"ヘミングウェイ版のイージー・ライダーなんだな"というもので、もちろんこれはとんでもない誤読であった、というかとんでもなく浅薄な感想であった。
それから、もうひとつ、アリスという名前の娼婦こそ"世の光(Light of the World)"として描かれているものなのだなという感想も、せいぜい誤読ではないという程度でそんなのいまどきの中学生ならもっとましな感想文を書くよとは、友人K君のはなし。
でも少しずるくはないか、この物語に登場する"ぼく"が、ニック・アダムズだなんて、どこに書いてあるのさ。というのはわたしの泣きごとである。・・・これは、十代のニックとトムが、従軍のために故郷を出て、キャンプへ移動中のエピソードであると、そう読めばいいんだってさ。




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