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482. 内田百閒 桃葉 (フルーツ小説百選)

「桃葉」(1938)は、百閒の初期短編のひとつ。
三島由紀夫によれば、この初期の昭和十年代の作品は傑作揃いなのだという。

四五人の客が落ち合って一緒にお膳をかこんだが、話しもはずまず時ばかりたつ様で、物足りない気持がした。
後からだれかもう一人来る様に思われたけれど、何人を待っていると云う事ははっきりしないなりで、みんなと途切れ勝ちの話を続けていると、暫くたってから、表で犬が吠えて、それから人の声が聞こえた。
「ああ僕です、いいんです」と云っているのが間近かに聞こえて、取次ぎより先に知らない男が這入って来た。(中略)
 私はその男に構わず、だれに話すともなく話しを続けた。
「机の一輪挿に挿しておいた桃の枝に赤い花が咲いて散ったから、枝を抜いて捨てようと思ったところが、青い葉っぱが出て来たので、まだその儘にしてある」
 お客はみんな曖昧な顔をして、ふんふんと云う様な恰好をしているらしく思われたが、その中のひとりが急に頓興な声をして、
「そりゃ、やめた方がいい。貴方はよく平気でいられますね」と云った。


「桃葉」も、なるほど名品だと思う。
怪談仕立てであるが、怖さが目立つわけではない。われわれの時代でいえば、筒井康隆さんの作品を思わせるような捻った笑いがそこに含まれている、そんな感じを受ける。読み終わったあと、余韻がとてつもなく長く響いて消えていかない。そんな小説なのである。



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