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483. 西遊記 蟠桃会/聊斎志異 偸桃

蟠桃会は、中国神話に登場する最高位の女仙・西王母の聖誕祭(3月3日)である。長寿と富貴を象徴する宴会として知られる。祝いに訪れた上級の貴仙や神族に、九千年に一度熟する不老不死の仙桃が振舞われる。
西遊記(16世紀頃)では、果樹園の管理人に任じられた孫悟空が蟠桃会に招かれなかったことを恨み、蟠桃園の中の桃を盗み食いし、宴会場で大暴れする。

同じ西王母の庭の桃を盗る話でも、聊斎志異(17世紀頃)の「偸桃」は、神話や妖怪譚ではなく下界の庶民の物語である。役人に季節外れの桃を取って来いという難題を課されたひとりの男が、手許の縄を空高く投げ上げ、それを伝って子供に天界まで桃を取りに行かせるはなしである。結末では、偉そうな役人をあざ笑うという現代風なオチがつけられている。

悟空は確かに天才だ。これは疑いない。それははじめてこの猿を見た瞬間にすぐ感じ取られたことである。初め、赭顔、髭面のその容貌を醜いと感じた俺も、次の瞬間には、彼の内から溢れ出るものに圧倒されて、容貌のことなど、すっかり忘れてしまった。今では、ときにこの猿の容貌を美しい(とは言えぬまでも少なくともりっぱだ)とさえ感じるくらいだ。その面魂にもその言葉つきにも、悟空が自己に対して抱いている信頼が、生き生きと溢れている。この男は嘘のつけない男だ。誰に対してよりも、まず自分に対して。この男の中には常に火が燃えている。豊かな、激しい火が。その火はすぐにかたわらにいる者に移る。彼 の言葉を聞いているうちに、自然にこちらも彼の信ずるとおりに信じないではいられなくなってくる。彼のかたわらにいるだけで、こちらまでが何か豊かな自信 に充ちてくる。彼は火種。世界は彼のために用意された薪。世界は彼によって燃されるために在る。
(中島敦、悟浄歎異)


西遊記をそのまま書き写すのも芸がないので、ここでは、中島敦の短篇「悟浄歎異」(1942)を引用してみた。
ここに登場する悟空の魅力的なこと!
中島の構想では、この沙悟浄を主役とし語り手とする物語は、最終的に『わが西遊記』という長編小説(連作短篇集)として書き上げたいという意向があったようで、つくづく未完に終わったのが惜しい。




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