スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

486. ジャン・ジュネ 泥棒日記 (フルーツ小説百選)

20世紀初のヨーロッパで、ジュネは泥棒となり男娼となって各地を放浪しながら、詩を書き、小説や戯曲を書いた。「泥棒日記」(1949)は、そのジュネの自伝である。ただし、虚構の自伝でもある。ジュネ自身は、この放浪のなかで、"最も美しい、また最も不幸な犯罪者たちとの同一化を追い求めていたのだ"という。

「さあ、やりな!」
 彼はその残っているほうの手で、わたしに、衣服を脱ぎたいということを知らせた。それで、わたしは毎夜のように葡萄の房をはずすために身を屈めた。
 彼は、薄い繊維で作られ、中に綿の詰った、作り物の葡萄の房をズボンの内側にピンでとめて付けていたのだ。(この実はすももほどの大きさのもので、当時この国の伊達女たちはそうした葡萄の房を、広い、つばのしなう、麦わら帽子につけていた)。『クリオラ』で、男色家がその膨らみに興奮して、彼のズボンの前のところを手で触るたびに、その指先はこの物体に出くわして、それを正真正銘の彼の宝物の房であると思いこんでいたその枝に、滑稽にも余りにも多くの実がぶら下がっているので、ギョッとなって縮みあがるのだった。(中略)
(その後、ずっと経ってから、アントワープでスティリターノに再会したとき、わたしは彼のズボンの下に隠されていた作り物の葡萄の房のことを思い出して、彼に話した。そのとき彼が語ってくれたところによると、あるスペイン人の淫売夫はドレスの下に、そして同じ部位に、薄布でできた薔薇をピンで留めていたという。「彼女の失われた花のかわりに」と彼は言った)
(朝吹三吉訳)


さまざまな"フルーツ小説"を読みすすめてきたが、このジュネの"葡萄"ほど、強烈なものはなかった。
強烈なあまり、「泥棒日記」というタイトルを失念するほどであった。失念してしまったあげく、作品のタイトルを、(私の頭のなかでは、) "失われた果実を求めて"と、勝手に改題してしまったほどであった。



にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ



関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。