491. アリス・マンロー 林檎の木の下で (フルーツ小説百選)

林檎の木の下で


アリス・マンロー(1931-)は、カナダの作家。
図書館勤務や書店経営の経験があるらしい。
なんて無用の説明はともかく、「林檎の木の下で」(2002)は、これぞフルーツ小説の鑑のような作品である。読んだら誰もが必ず林檎の木を見上げたくなるかもしれない。
連作短篇集『The View from Castle Rock』(邦題、林檎の木の下で)に所収。

サクラの花を見て、わたしはミリアム・マカルピンのところの木を思い出した。花をつけているところを見たくなった。見るだけではなく  道路からでも見える  木の下へ行って仰向けになって頭を幹にくっつけ、自分の頭のてっぺんから生えているように見える木がずっと上へ、逆さまになった花の海へと消えてゆくのを見上げたいと思ったのだ。(中略)
わたしは仰向けに寝た。木の根が体の下で硬い隆起になっていたので、ごそごそ位置を変えなければならなかった。それに乾燥肉の塊のように黒ずんだ去年のリンゴも落ちていて、体の位置を決めるまえに取り除かねばならなかった。なんとか落ち着いてからでさえ、自分の体が奇妙で不自然な状態にあるという感じだった。そして、かすかにばら色のにじんだおびただしい真珠のような花弁が下がっているのを、あらかじめ飾られているたくさんの花束を見上げても、望んでいた心持、崇敬の念がこみ上げてくるということはさほどなかった。空にはまばらに雲が浮かび、目に映ったそれは薄汚れた陶器のかけらを思わせた。
(小竹由美子訳)


恋占い、浮橋、家に伝わる家具、なぐさめ、イラクサ、ポスト・アンド・ビーム、記憶に残っていること、クィーニー、クマが山を越えてきた、良いことは何もない、キャッスル・ロックからの眺め、イリノイ、モリス郡区の原野、生活のために働く、父親たち、林檎の木の下で、雇われさん、チケット、家、なんのために知りたいのか?、メッセンジャー、次元、小説のように、ウェンロック・エッジ、深い穴、遊離基、顔、女たち、子供の遊び、木、あまりに幸せ

・・・ちょっと試しにこれまでの彼女の作品の邦訳のタイトルを並べてみた。
さすがは短編の名手である。これだけで深い物語がそこにあるのをを感じる。これを見るだけで、あまりに幸せ。



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