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494. ウラジーミル・ナボコフ ラ・ヴェネツィアーナ (フルーツ小説百選)

Dorotea_berlino.jpg
(Sebastiano del Piombo、「Dorothea」、1512)


「ラ・ヴェネツィアーナ」(1924)は、ナボコフの初期短編の一つ。
物語の舞台は、イギリスのとある赤い色の館。登場するのは館の主人の大佐、その息子のフランクと友人のシンプソン(二人は学生である)、そして年老いた絵の修復士であるマゴアとその妻のモーリーン。最後に、(重要なものを忘れてました、)屋敷の玄関ホールに掛けられている16世紀のイタリア人画家による”ヴェネツィア美人”の絵。

そしてシンプソンは、深く息をつくと、彼女のほうへ身体を動かして、苦もなく絵の中へ入り込んだ。すぐに激しい冷気で頭がくらくらし始めた。ギンバイカと蠟と、かすかなレモンの香りがした。(中略)
ヴェネツィアの女は流し目に微笑んで、そっと毛皮をなおしてから手を籠に落とし、小さめのレモンを差し出した。輝き始めた彼女の目から目をそらさずに、シンプソンは彼女の手から黄色い果実を取った。そしてそのざらざらした固い冷たさと彼女の長い指の乾いた熱を感じるやいなや、信じられないような至福が内側に沸き立ち、甘く煮えたぎり始めた。
(毛利公美訳)


作中の絵のモデルは、ヴェネツィア派の画家、セバスティアーノ・デル・ピオンボの描いた「ドロテア」という作品だということらしい。上の画像がそれである。
この絵をめぐり、いつもながらの流麗な文章とみごとな物語が綴られる。読み終わると、誰もがむふふと会心の含み笑いをもらさずにいられないだろう、そんな作品であると思う。
もちろん、笑劇の要素が強いのでがははと笑ってもいいのであるが、そういえぱナボコフの短篇を読んでがははと笑う人は見たことがないなぁ。含み笑いが似合うのである。



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