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801. ロレンス・ダレル アレクサンドリア四重奏/クレア (画家小説百選)

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「クレア」は、アレクサンドリア四重奏の第四部として発表された長編小説。タイトルは、四部作を通して登場する女性画家の名前を冠したものである。
しかし、名前を冠されたからといっても、第四部の物語に限ったとしても、この画家が物語の主人公になることはついぞなかった。ダレルの華麗な文体と、現実から遊離してゆくかのようなプロットと、我儘勝手な言いまわしの中で、ただ浮草のように踊らされるだけであった、と書くと言い過ぎだろうか。

この手のおかげで、わたしは境界を乗り越えて自分の王国を手に入れた。こんなことはまったく思ってもいなかったのに。ある日、これが絵筆を取りあげた、と見るや、ほんとうに心を搔き乱すな独創と権威に満ちた絵を生み出したのです。これまでに全部で五枚描きました。わたしは敬虔な驚異の念をもってこれらの絵を見つめています。いったい、これはどこから現れたの? (中略)
この新しい手の言葉と、これがもたらしてくれた内面の変化に、わたしはすっかり夢中になっていた。わたしの前にあらゆる道が開け、いまはじめてあらゆるものが可能になったような気がするの。
(高松雄一訳)


『アレクサンドリア四重奏』という小説は、いろんな読み方ができることはもちろんだが、やはりこれは主人公のダーリーが作家としてペンを取り始めるまでの芸術家小説なのだと考えるのが一番すっきりしている。
満を持して第四部に再登場してきた画家のクレアも、所詮は脇役にすぎないのである。

ところで、引用文は、その画家クレアから作家ダーリーへの手紙の一部である。
アレクサンドリアを離れてしまったダーリーに対して、クレアのほうはといえば、こちらも最後には新たな道をみつけて旅立っていく姿が描かれることになる。

それにしても、この小説の最後の段落のなんとも素敵で魅力的なこと!
・・・『全宇宙が親しげにぼくを小突いたような気がした。』
この素晴らしさは、あらゆる小説の最後の一行コンテストで優勝を争うクラスだと思う。



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