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62.コレット 青い麦

「青い麦」(1923)は、言うまでもなく、少年と少女の物語である。一葉の「たけくらべ」もいいが、こちらもなかなかいいのである。特に、少年がダルレー夫人に誘惑されるくだりときては、官能の描写など一行もないのにもかかわらず、…こんなに危険な書物ったらないと、そう言わざるをえない。

立ち上がった、重い波と目に見えない障害物を押し分けて、戸口のところまで進んだ。そして、窒息した人のように息をはずませて明るい戸外へ出た。
「ああ、苦しい!……」彼が小声で言った。
彼は劇的な手つきで、心臓が鼓動していると思われるあたりを押えた。
次いで彼は急に現実の意識を取り戻した。馬鹿みたいににやりと笑った。騎士のようにマダム・ダルレーの手を握って振った、自転車を起こしてペダルを踏んだ。最後の坂の上のところで、心配して自分を待っているヴァンカを見いだした。
「フィル、こんなにいつまでも何をしてたのよ?」(中略)
「僕が何をしたかって?何もかもみんなしたよ!」
(堀口大學訳)



初読からン十年が経つが、どうもダルレー夫人が気になって仕方がないのである。しかしもちろん本筋は、フィルとヴァンカのひと夏の恋物語の方なのである。久しぶりに読み返して、淡い恋の顛末に酔うのもいいかもしれない。コレット/堀口大學の美しい文章に魅せられるのもいいかもしれない。

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「禁断」の愛読書

コレットの『青い麦』は、高校2年の夏の、私の「禁断」の愛読書でした。
ヴァンカという少女の名前を何回も口ずさんでみたりしました。
蔓日々草という、私の知らない植物名を呪文のように口ずさんだりもしました。
田舎の高校生にとって、フランスは、余りにも遠きものながら、非常に蠱惑的な作品で、何回も繰り返し読んだものです。
これを機に、私はフランスの文学に興味を抱いて、同じ新潮文庫のカミユの『異邦人』(カッコイイ銀の表紙だった)を買ってきましたが、『青い麦』とは余りにもほど遠い世界に愕然としたものです。
引用の箇所を読んで、そんな記憶が蘇ってきて、ドキドキしました。

こんばんは

たしかに、今、読んでも、「僕が何をしたかって?何もかもみんなしたよ!」というところには、まいりました^^



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