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805. シオドア・スタージョン ここに、そしてイーゼルに

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スタージョンの中篇「ここに、そしてイーゼルに」(1954)には、絵を描けなくなった画家が登場する。
しかし、ありふれた芸術家小説ではない。
そこは、スタージョンのこと、立派なファンタジー、奇妙なSF小説に仕立てている。
作家自身が、これはすこぶるお気に入りの作品である、と表明したというだけのことはあるのである。
邦訳は創元文庫版の短編集『時間のかかる彫刻』に、所収。

困ったことに、ぼくはどうやら絵描きじゃないらしい。かつては絵描きだったし、いつかは絵描きになるとしても、今の今は絵描きじゃない。「一日おきにジャムをあげよう」と鏡のなかにふらりとはいりこんだアリスが言われたように、「昨日のジャムと明日のジャムはあるけれど、今日のジャムはないのが決まり」なんだ。(中略)
絵描きだったよ、絵描きになるさ、絵描きじゃないね。ジャイルズ、こいつをひとつ、唄にでもすれば、ほぐせ(ラヴェル)、ほぐせ(アンラヴェル)、とボレロを唱えるラヴェルもどきに、わめきながら狂い死にができるぞ。ジャイルズ最後の詠唱さ。
絵描きじゃないったら絵描きじゃないたら絵描きじゃない、そう! 絵描きじゃないったら絵描きじゃないったら絵描きじゃない。もう!
ジャイルズ、いい加減にしないと、例の空想のもう一人のやつが現われるぞ。
(大村美根子訳)


絵を描けなくなった画家とは、もちろん書けなくなってしまった作家の暗喩でもある。
60年代のある時期には、「週に一編」のペースで作品を書き上げたというスタージョンをしても、そんな時があったのだろうかと、ついそんな余分な想像をめぐらせてしまったのでありました。

ところで、アメリカでは、全13巻のスタージョン短編全集(全200編超を収録)が刊行されているとのこと。「週に一編」のペースで読めば、4~5年は楽しめるんだものなあ。羨ましいかぎりである。欲しいかぎりである。




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