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808. ホルヘ・ルイス・ボルヘス 疲れた男のユートピア

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「疲れた男のユートピア」は、短編集『砂の本』(1975)に所収。
・・・作中、”わたし”が平原の道を進んで行くと、ひとりの男に出会った。

彼のあとについて、わたしは隣の部屋に行った。彼は、これも天井から下っているランプに火をともした。一隅に、わずかな絃を張った竪琴を見つけた。壁には、黄色のトーンの勝った、いくつかの四角いキャンバスがあった。それらは、同じ手になる制作とは見えなかった。
「これがわたしの作品です」と彼が言った。
わたしはそれらのキャンバスを注視し、一番小さいもののまえで、立ちどまった。それは、落日を表現、いや、暗示しており、なにか無限のものを包蔵していた。
「もしお気に召したら、未来の友人の記念に持って行ってもいいですよ」と、彼はごく当り前の口調で言った。
わたしは礼をのべた。しかし、別のキャンバスが心にひっかかった。空白とはいえないが空白に近いものだった。
「あなたの昔の目には見えない色で描いた画ですよ。」
(篠田一士訳)


はたして、この男が”画家”であるかどうか?
そんなことは小説のタイトルから推して、たぶん問題にもならないことなのだろう。
仕方がないので僕は、1951年にラウシェンバーグが描いた「White Paintings」という作品を思い浮かべてみる。あるいは、僕の小さな娘がなにも描かずに放ってある白いお絵かき帳のことを思い出して、そこにはもしや僕の目には見えない色でなにかが描かれているのだろうか?などと想像してみる。 ちなみに、僕に小さな娘はいません。



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残暑お見舞い

jacksbeans 様

記録的な猛暑の中、お見舞い申し上げます。

実は私、この引用箇所の後、急に数人の来客が、部屋を片付け始めて
から、結末に至るまで、何があったのか未だに分からないんです。

読解力が足りませんね(^Д^;)

気に入っているのは、金属製の小さな台所での妙に美味しそうな質素な
食事と、『他人の食べるところを見るのがおいやでなかったら、一緒に
召し上がりませんか』と勧める、この男独特の慎み深さです。

おはようございます

ヨナデン さま

いつもコメント、ありがとうございます。
この短篇は、読むたびに、違った読み方をして、違ったことを考えてしまうようなところがあります。
わたしの場合だと、結局は、ただぼんやりと「疲れた男のユートピア」という題名をながめて、つまりはまあ、このタイトル通りの作品なのだなあ、と思っておくことにしてビールを飲む、と。
そんなふうに対処しているんですけどね。

まだまだ暑さが続くようです。御自愛ください。

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