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837. ウラジーミル・ソローキン  ロマン (画家小説百選)

ソローキンの長編、「ロマン」(1994)は、三部構成の形を取っている。
第一部と二部では、弁護士を辞め、画家として第二の人生を歩むために故郷の村へ戻った青年の物語が描かれる。まるで、19世紀のロシア文学の黄金時代の大家たちの作品を模したような大長編小説が綴られていく。
そして、第三部では、その物語がすべて壊されてしまう。

それはもう、乱暴狼藉のし放題!
物語も登場人物もテクストもエクリチュールもシニフィアンもシニフィエも皆殺しの憂き目にあう。さすがは、小説の破壊者であるとか、ロシア文学最悪の作家というような呼び名が冠されるだけのことはある。どこかの翻訳家のように、「『青い脂』で飛び出た目玉を拾って入れて、また目ん玉飛び出るがよい!」などと叫びたくなる気持ちもわかるような気がしたりするのである。

もう一年以上も前にロマンはそれまで勤めていた弁護士の職を去り、絵を始めていた。(中略)
「ロームシカ、またどうして絵を始めたの」
「うまく言えませんが・・・・・・」ロマンは肩をすくめた。「僕はまだ子供の頃からずっと、画家がうらやましいと思っていたのです」
「ほほぉ、そいつはいい!」叔父は大音声をあげる。「うらやましいときたか!それなら、成功間違いなしだ。もし仮にお前が、画家を崇拝していたとか、好きだったとか尊敬していたとかいう言い方をしていたら、わしはお前を信用しなかっただろう。ところがうらやましいときた!そいつはたいしたもんだ」
(望月哲男訳)


しかし、物語が壊され、登場人物が死滅してしまったあとで、ふと気がついたことがある。
この物語の主人公は、なぜ画家であったのかということである。
たぶん、画家でなくてもよかったのだろうとか、ゴーゴリやツルゲーネフの画家小説を軽く捩ったのかもしれないなとか、そんなふうに考えるのは容易い。
でも、たぶん、そうではないのだろうなぁ。
或は、なにも意味は無いと。

そうだ、それなら、むしろ、こちらの方について考えてみるのが面白いかもしれない。
なぜ、この主人公の名前は「ロマン(ROMAN)」というのか?
ロマンが死ねば、小説も死ぬのか? なんてね。




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