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839. ウィルキー・コリンズ ならず者の一生(画家小説百選)

A Rogues Life


「ならず者の一生」(1856)は、ウィルキー・コリンズ(1824-1889)の書いた中篇小説。
イギリス流のユーモアをふんだんに散らしたピカレスク小説である。 
この作品は、作家自身によれば、少なくとも二つの長所を持っているという。
曰く、『彼(主人公の画家の青年)は、深刻になってもすぐに軽薄さを取り戻す。そして、「読むのに時間がかからない」。』


先に、パブリックスクールで得た学識の一つとして、私にありがたくも教育を施して下さった先生方の似顔絵を描くことを学んだと申し上げた。私にはこの有益な芸術の一分野に天賦の才があった。学校を出た後も隠れて修練を積み、この能力にかなり磨きをかけた。そして医者を目指していたときには、それが私の小遣稼ぎのタネになった。(中略)
私は英国似顔絵界の若き海賊の一人となり、暇さえあれば題材となり得る獲物を求めてあちこち巡航した。店のウィンドーに並んで、著名人たちの公私に渡る行状を茶化している色付き版画の中で、「テルシテス・ジュニア」という古典から取った名で署名を付した商品見本が、実は勤勉に医学を志す我が息子の手による作品である、などとは育ちのよい母には考えもつかなかった。
(甲斐清高訳)


実際にに読んでみるとこの主人公は、悪漢というよりもただのよくいる軽薄な若者で、ただし奇妙なエネルギーを備えていることで何とかハッピーエンドにまで漕ぎつけるという、まことに幸せな青年なのである。
ああそうだそれからなんといっても他愛のない物語であるので、たしかに、「読むのに時間がかからない」。

ところで、ウィルキー・コリンズといえば、やはり「月長石」(1868)という作品にふれておかなければならない。
この分厚くて重い文庫本は、なるほどその厚みと重量だけのことはある。今も古びずに推理小説としての面白さを湛えているのである。ただし、最初の、最長の、最上の、且つ、最大にして最良の探偵小説であるかどうかは、わからない。

以上、報告します。



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