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840. ミシェル・ビュトール ヴィーナスの夢/ポール・デルヴォーの絵の中の物語 (画家小説百選)

Tribute to Jules Verne
 (Paul Delvaux、「Tribute to Jules Verne」 ,1971)


ヴェルヌの「地底旅行」(1864) の主たる登場人物は、リーデンブロック教授、物語の語り手である”ぼく” (アクセル=教授の甥)、寡黙でスーパーなアイスランド人ガイドのハンス、の3人である。上の画像のデルヴォーの絵の左端の眼鏡をかけた紳士が、リーデンブロック教授である。
これを見ると、デルヴォーもヴェルヌが好きだったんだなぁと何故かうれしくなってしまう。教授の姿は、デルヴォーの作品に何度も何度も登場するのである。

ミシェル・ビュトールの書いた中編小説「ヴィーナスの夢 (旧題、ポール・デルヴォーの絵の中の物語)」(1976)は、「地底旅行」のアクセル君を(借りてきて)語り手とした作品である。デルヴォーの描いた18枚の絵を基に、それと呼応する形で文章を綴っている。

 駅。私が生まれた家、その中庭と鉄格子。屋根の上には二本の煙突。天窓も敷石もカーテンも木々もそのままだ。ガラス窓も。火事で焼けてしまった父の生家。伯母さんたちの家とも呼んでいた  エルネスティーヌ、ローランス、マリ、それからアデール。そのひさし、からまる木蔦。ランプ。おばあさんの台所、天井から吊り下げられたハムとベーコン。大時計は二時半を指し示している。(中略)
そこは千九百年当時の姿の婦人たちが歩くベルギーの町、あるいはアイスランドの町か。ただ、その胸元を支えるような壁は取り払われてしまった。細い吊り紐が残っているだけだ。教授よ、教授よ、ついにまたあなたを見つけました。
(内山憲一訳)


デルヴォーの絵を見ていると、誰もがその絵によって呼び起されたイメージを文章にしてみたくなるだろう。でも、ビュトールがやったのは、もちろん、そんなことではない。

それはたぶん、デルヴォーの絵の向う側にある何かを(誰かを)探してまわる行為に似ているだろう。
ようやく見つけたと思ったら、リーデンブロック教授ではなくて、ロゼット博士だったりするというような。
我らがアクセル君は、いつだって大変なのである。



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