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845. E・C・ベントリー トレント最後の事件 (画家小説百選)

ベントリー

E・C・ベントリーの「トレント最後の事件」(1913)、
イギリスの探偵小説の古典的名作である。これをもって本格ミステリの黄金時代の嚆矢とする。同時に、それまでの探偵小説を揶揄し皮肉ったアンチ・ミステリでもある。

どの意味でとらえても、ああなるほどと頷くことができる。
今、読んでも、とにかく面白いのである。
チャンドラーは嫌がるかもしれないが、これはハードボイルド探偵小説の先駆役を果たしたというような見方もできるかもしれない。なんたって、トレントも、マーロウも、ファーストネームは同じフィリップというのである。

画家にして画家の息子だったフィリップ・トレントは、二十代のうちにイギリスの美術界である程度の名声を勝ち得ていた。それに、彼の絵は売れた。独創的で、有無を言わさぬ才能と、のんびりとだが、地道に作品を描き、ときおり猛烈に創作意欲にかられる生活ぶりとが、その根底にあった。(中略)なにより彼の成功を助けていたのは、無意識のうちに人に好感を与える才能だった。いい性格や、明るくてユーモアのある人柄は、いつも人気の的になる。トレントは、そうしたものに加えて、人間に対する純粋な好奇心をもっており、それが彼に単なる人気以上の深いなにかをもたらしていた。彼が人について下す判断はよく本質を見抜いていたが、そのプロセスは内面でひそかに進行していた。
(大西央士訳)


この作品のタイトルは、正確には「トレント最初で最後の事件」とした方が良かったかもしれない。主人公の画家、フィリップ・トレントは、物語の中で、もう二度と犯罪推理には手を出さないと宣言しているからである。

邦訳は、創元、早川ともあるが、引用したのは集英社文庫版である。
集英社版では、『乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10』の一冊として、訳出されている。
他の9冊は、赤毛のレドメイン家、黄色い部屋の謎、僧正殺人事件、Yの悲劇、アクロイド殺害事件、帽子収集狂事件、赤い館の秘密、樽、ナイン・テラーズ、である。残念ながら、画家が探偵役として登場する物語はない。





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