スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

849. マネット・サロモン/カフカの日記 (画家小説百選)

ゴンクール兄弟の書いた「マネット・サロモン」(1866)は、画家小説集を編むとして、欠かせない一冊である。
時間軸としては、バルザックの「知られざる傑作」(1831)と、ゾラの「制作」(1886)の間に位置付けられる、いわば訳されざる名作である。
邦訳がないからといって、これを読み飛ばしてしまうと、そこにぽっかりと穴が開いてしまう。仕方がないからとその穴に、同じ年に書かれた「罪と罰」を投げ込んでみても埋め合わせにはならない。その前年の穴にならウサギがいたかもしれないが。

仏文出身の友人、Kクンに訊いてみる。
曰く『この小説は、コリオリとアナトールという二人の画家を主人公とするヒューマン・コメディだ。1840-1850年代にかけてパリの画塾で学ぶ若い芸術家たちの生き方、そして画壇やサロン展のありさまを描いている。
当時の印象派やバルビゾン派の画家たちへ大きな影響を与えたという見方もある。小説では、才能ある画家だったコリオリスは、一人の女性と恋に落ち結婚生活に入る。それ以降は、画家としての野心も創造性も失い、日常性に埋没してしまう一方である。つまり、結婚とは、芸術家の嘆かわしい死を意味するのである。作家は、独身と禁欲を称え、女嫌いを標榜しているかのように見える。・・・』

しかし、わたしが聞きたかったのは、そんなことではなかった。その程度のあらすじならAmazonの洋書コーナーへ行けば書いてある。わたしが知りたかったのは、"マネット"がどんなに魅力的な女性だったかである。その"輝くばかりの肉体を持つ"という女性について知りたかったのだ。


マネット

それならこれでも見ておけばと、Kクンが貸してくれた本の表紙が、上の画像である。 このルーベンス風の脹よかな肉体! ほんとうにこれがマネットの正体なのだろうか?!

確実を期すために、ひとりの信頼すべき証言者を呼んでみよう。
紹介します、カフカ君です。

Nのところの女事務員は、ぼくに一年半前パリのオデオン座で、マネット・サロモンを演じた女優を思い出させた。少なくとも彼女が坐っているときはそうだった。ウール生地で締めつけられた、柔らかい、高いというよりはむしろ幅広い胸。口のところまでは幅が広いが、それから急に細くなっている顔。簡素な髪形のまま放置された、自然のままのカール。がっちりした体に秘めた熱情と落ち着き。(中略)その様子が、いかにも彼女の内部にマネット・サロモンがいるかのような感じを与えたのだった。
(カフカの日記、「1911年11月8日」、谷口茂訳)


つまりこういうことか。マネットとは、・・・幅広い胸、口のところから急に細くなっている顔、簡素な髪形と自然なカール、がっちりした体に秘めた熱情と落ち着き!! そしてカフカは、こんなことも書いている。『彼女は、歩き回ったりしながら、三十分間に二語か三語しか発しなかった』!!!

ここに至って、イメージは固まってきたと思う。
つまるところマネットとは、寡黙で脹よかな肉体を持つ美女、なのであろう。




にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ








関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。