851. ジョルジュ・サンド ピクトルデュの城 (画家小説百選)

george sand les contes dune grand mère  george sand les contes dune grand mère2


ジョルジュ・サンドの「ピクトルデュの城」(1873)、
最晩年の短篇小説集『祖母の物語』(1872-1875)に所収の一篇。
この短篇は、作家が孫娘のために書いた物語であるという体裁を取っている。
ただし、それはあくまで体裁であって、そこには彼女の芸術論(芸術家論)や女性論が明確に組み込まれている。童話だと思って読むと当然ながらすこし手ごわい。

彼女は切り出します。「私にはいつも離れない一つの考えがあるのです。それは顔で、それを見つけなければならないのですが、それが見つからないのです」
「どんな顔だ? 相変わらずヴェールの婦人か? 子どもの気まぐれが、いまこんなに大きくなって、しっかりものを考えることができるようになったのに、離れないのか? 」
「ああ! この気まぐれは決して離れないのです。ヴェールの婦人に、『私はお前のお母さんですよ。お前が私に顔を返してくれれば、お前は私の顔を見ることができるのよ』と言われて以来です。すぐには分かりませんでした。でも少しずつ分かってきたことは、私の母の顔、一度も見たことのない顔を描かなければならないということです。そしてそれこそ私が求めていたものでした。母はとても美しい人だったと聞きました。私によほどの才能がなければ、おそらく母に近い姿を描くのは不可能でしょう。(中略)私の描く顔はみんな下らないか、凡庸なものです。父がモデルを美化するのにどういう方法を使うのか、眺めます。父はモデルを確かに実際より美しく描いています。今それが私にはよく分かります。(中略)私の頭の中にあるのは、描くものをありのままに描くということです。もし私に才能があれば、パパの描くのとはまるで違うように描くだろうということがよく分かっています。私が苦しく、悩むのはそこなんです。」
(小椋順子訳)


ここでの語り手は、画家を父に持つ12歳の少女、ディアーヌである。
少女は、絵を描くことについての悩みを、"よき相談役"のドクターに話している。
作家は、物語のあちらこちらに、妖精や、荒れ果てた古城や、ヴェールで顔を隠した謎の婦人など、ジュヴナイルやファンタジーにとっては当たり前の仕掛けや常套句やアイテムを散らばせながら、一方で、ヴェールに包んだ芸術論をこっそりと陳べ立てる。
・・・作家の言いたいことはようくわかる。ようく理解したと思う。
そう思うのではあるが、本当はやっぱり、サンドが書いた童話らしい童話を読みたかったなと、密かに思ったりするのである。




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