スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

852. レーモン・クノー  アリス、フランスに行く (画家小説百選)

Alice (5)

物語の主な登場人物は、アリスと白い男の二人。
フランスに着いたばかりの少女を、男が迎えにきたところである。
・・・いかにしてアリスはこのような奇妙な絵のようなもの(文字のようなもの)を書くに至ったのか?

白い男はアリスが目覚めるのを待っていたみたいで、とても嬉しそうな顔をした。男はさっそくアリスにペンを差し出した。
「何をしたらいいの?」アリスは尋ねた。
「何って! ペンを貸してあげるんだから」
「だから、どうして・・・」
「ひとこと書くためだよ」
「でも、何を?」アリスは尋ねた。
白い男は茫然と立ちつくした。アリスはペンを手にしたままじっとしていた。それにインクがないのに気づいた。
「そんなことはどうでもいい」白い男は言った。「インク無しで書きなさい」
男はろうそくを眺めて泣きそうになった。ろうそくの炎が突然弱まり始めていたのだ。
「一言でいいから!」男は声をあげた。
「この人を喜ばせてあげよう」アリスはそう思い、意を決してペンを取ると、次のように書いた。
「La Lune(月)」
「それじゃあ、ふたことになるぞ」ピエロは険しい口調で言った。
(塩塚秀一郎訳)


レーモン・クノーの短篇、「アリス、フランスに行く」(1945)は、もちろんただのパロディではない。
『不思議の国のアリス』や民謡『月の光に』を捩るかたちをとりながら、得意の言葉遊びの場に読者を連れて行こうというのが本線なのだろう。訳者によれば"慣用的言語表現を反転させてみる"というような試みである。とすれば・・・、
日本語で読むのはなんてむずかしいのだろう!と、嘆くことになりかねないのだが。

実際には、そうでもない。愉しく読むことができる。訳文の力を借りながら、ははあん、これはいつものクノーの調子なんだなと、すぐにたのしむことができると思う。そんな小品である。
しかしアリスの書いた"絵のようなもの(文字のようなもの)"、愉しいよね!!
以上、報告します。



にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ



関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。