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854. J・D・サリンジャー ド・ドーミエ=スミスの青の時代 (画家小説百選)

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時代は1930年代末、主人公の"わたし"は19才、母に死なれ、義父と二人でパリからニューヨークに移ってきたところから物語は始まる。"わたし"は、やがて、名前や年齢や経歴を偽り、カナダの美術学校の講師の職を得ることになる・・・。

物語の体裁は、若き芸術家の肖像である。或いは、そのパロディである。
"わたし"の法螺話めいた独白を通して、かなり直截的な絵画論やら芸術家論が語られたりするので、一旦はこちらもそれを面白おかしく読むふりをしておいて、それから作家の肉声を聞き分けようかなどと無謀な試みをしてみたりする。
やれやれ、サリンジャーは、いつもながら読み方が難しい。ン十年経っても、それは同じである。

宵の口には、たいてい本を読んで過した。わたしは『ハーヴァード古典叢書』を一揃い買い込んだ。われわれの部屋にはそんな物まで置く余裕がないとボビーが言ったのが主な理由であった。そして、その五十冊全部をわたしは依怙地になって読み上げてしまった。夜がふけてからは、ボビーと二人で使っていた寝室のツイン・ベッドの間に画架を立て、きまったように絵を描いた。1939年の日記によると、たった一ヶ月のうちに十八枚もの油絵を仕上げた記録も残っている。注目に値するのはそのうち十七枚までが自画像だったことだ。・・・
(野崎孝訳)


「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」は、作家の自選短編集『ナイン・ストーリーズ』(1953)に所収の一篇。
サリンジャーの30代の作品である。
30代の作品集だからといって、若書きだとか、直截的な表現が多いだとか言うつもりは決してない。
むしろ、これ以降、サリンジャーが書いていくことになるグラス・サーガなどの作品群の、ここが出発点になったのだろうなと、ありふれた読者ならではのありふれた感慨がどんどんわいてきたりするのである。
そして、短編集の中に、"画家小説"が含まれていて良かったなと。



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