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8.マルセル・プルースト 失われた時を求めて

「失われた時を求めて」(1913-1927)、文庫本で全13巻、約6000頁! こんなの、書く方も書く方、読む方も読む方だと思っていた。もちろん読んでみるまでは、の話である。実際に読み終えてみると感慨もひとしおだ。特に、早くも第二篇・花咲く乙女たちのかげにで、美しい自転車乗りの少女が登場するシーンを見つけたときの嬉しさったらなかった。

そのとき、まだほんの堤防の突端のあたりに五、六人の少女がかたまって、まるで一つの奇妙な斑点を移動させるようにこちらに進んでくるのが見えた。その姿といい、動作や態度といい、彼女らはバルベックでよく見かけるどんな人たちとも異なっていて、まるでどこからやって来たのか、一群のカモメが浜辺を散歩しているような風情であり---おくれた二、三羽は翼をばたつかせながらまた前の者に追いつくのだった---その散歩の目的は、彼女らが目もくれないように見えるほかの海水浴客にとってこそ曖昧だが、この鳥たちのこころにははっきりと定められているように思われた。
これら見知らぬ少女たちの一人は、手で自転車を押していた。ほかの二人は、ゴルフの「クラブ」を持っていた。そして彼女らの身なりは、バルベックにいるほかの少女たちとかけ離れていた。なるほどバルベックの少女たちのなかには、スポーツに夢中になっている者も何人かいたけれども、だからといって特別な服装をするわけではなかったからだ。(鈴木道彦訳)


この自転車を押している褐色の髪の少女が、後のアルベルチーヌ、花咲く乙女たちの中心人物である。何気ない描写であるのに、このアルベルチーヌが初めて登場するシーンは、あざやかで華やかで強く印象に残っている。少女たちも、背景になるパルベックの風景も、なにか特別な太い輪郭線で囲まれているかのように明確なイメージとして視覚に飛び込んできたのである。・・・ともかく、この大長編の中で、第七篇と並んで、わたしはこの第二篇=花咲く乙女たちのかげに が一番の読みどころだと思う。いやそれはなにも、自転車と、カモメのような少女たちが颯爽と登場してくるからだけではないのであるが・・・。


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はじめまして

はじめまして、足跡からきました。涼と言います。

自転車に関係のあるミステリということで、まとめていらっしゃるのですね。
本書は昔読んだのですが、この箇所は覚えていませんでした。

最近ではDVDで観たのですが、やはりこの景色が懐かしいような気になります。

これからもお邪魔しますので、よろしくお願いいたします。

コメント、ありがとうございます

「DVD」、わたしも最近見たばかりでした。なかなか楽しめました。
…コメント、ありがとうございました。
なにぶん、このブログを始めたばかりですので読み辛いところが多いかもしれませんが、なんとか続けていきたいと思っています。また、お越しください。
わたしの方も、お邪魔させていただきます。
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