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869. 池内紀 ヴァスコ・ポパのこと (画家小説百選)

ポパ


「ヴァスコ・ポパのこと」(1993)は、短編集『錬金術師通り』に所収の一篇。
池内紀の小説集、学者(翻訳家)さんの余技かと軽い気持ちで読み始めると、もちろんころりと裏切られるので愉しいったらない。

 一九八六年七月、ヴァスコ・ポパはウィーン九区のアパートで死んだ。六十四歳だった。友人や知人たちは、なかなかその死が信じられなかった。あの青緑ふれたヴァスコ・ポパが、こんなにあっけなく、この世からいなくなるなんて!
 四十をこえてもこの画家は青年のように見えた。五十歳のときに<パンドラの函>連作を発表した。みずみずしい裸像ばかりが二十点。当人が連作のためのメモをつけている。
「女の愛はパンドラの函のように、いちばん底に苦をしのばせている。しかし、それは黄金の葉につつまれており。色あざやかな臭いにふれ、誰ひとりこの函の蓋をあけたことを後悔しない」


物語の語り手は、今、リュブリアーナ=スヴェロニアの古い街を旅している。
この街の出身の画家について調べようと歩きまわる。しかしなにか茫洋としていてイメージがつかめない。この画家は、パリでエロスの画家として彗星のようにデビューしたあと、晩年はウィーンにに移り風景画に転身したというのだが。

・・・もちろん、ヴァスコ・ポパという画家は、幾らネットを探索しても出てこない。その代わりにといえるかどうか、同名の詩人が同じ旧・ユーゴ出身の同時代人として存在する。これはいったい・・・???、と一旦戸惑ってみるのが読者の責務ということだろう。ただの随筆風旅行記風小説だと見せておいて、実は巧みの仕業が仕込まれているのである。



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